平成元年に発売されたGTR(BNR32)においては、かなり改造されている人も多いと思います。しかし、ごく一部のデータのみを変更してとりあえず走っているという状況は多いと思います。またオーナーはこれで完璧と考えているようですが、実際はもっと丁寧に変更を行えば極低回点から高回転後負荷までもう一段うえをねらうことも出来ると思います。
 ここでは、基本的な制御について説明し、変更を行った場合はどうなるかを解説してゆきたいと考えています。

1.K定数について

 燃料マップ及び点火時期マップや加速時燃料補正など、各々のマップ上のどこを読むかを決定する定数で、基本的な空燃比を定める定数です。
 そのため、BNR32の場合は、address 7F2Cに00E9hが記載されています。
 これは、イニシャル燃圧約3.05kg/cm2の場合で、インジェクターが440ccの場合成り立つ定数となります。
 ※余談ですが、BNR32はE9ですが、BCNR33では、E7となっています。
 ※BNR32のROMデータで弁解率を計算すると下のようになります。
  マップデータが30hで、TPが58hで、回転軸がA0h(8000回転)の場合の計算方法は以下のようになります。
  (((30h+128)/128)*(58h*0.125))*100 / (120000/A0h*50) = 100.83333 約101%の開弁率になります。

K定数を小さくする場合の要因(全域にわたり燃料を絞りたい場合です)
1.インジェクターを噴射量の大きい物に交換した場合
 BNR32は、低抵抗タイプのインジェクターが使用されていますので、必要に応じて大容量に変更します。
 しかし、大容量のインジェクター(現在では毎分1リットル)は、細やかな調整は出来ませんので、排気ガスや燃費の悪化が起こります。

2.基本燃圧をより高くした場合
 調整式レギュレーターで燃圧を上げますが、流量が少なくなると当然困りますので、燃料ポンプの能力の上限を超えないように経験から判断する必要があります。
 私の経験では、ポンプを交換しないなら、燃料ラインの大口径化と燃料フィルターの新品への交換及び抵抗の少ない物に換える事が効果が高く実用的であると思います。
 燃料ポンプの交換が必要な場合で、加給圧が1.5〜1.6kg/cm2の場合は、純正の燃料ポンプを1個造設して2個にすることが簡単で安価にすることが出来ます。現在は、BNR32も古く現在の燃料ポンプがくたびれている場合が多いですので、新品を2個(ニスモ製が少し安い)を使う必要があります。その場合は、外観の改造がありませんので車検時もほとんど問題が有りません。

K定数を大きくする場合の要因(全域にわたり燃料を増量したい場合です)
1.インジェクターを小さい物へ交換する
 上記の大きくした場合の逆の例です。

2.基本燃圧をより低くした場合
 調整式レギュレーターで燃圧を下げます。しかし、リターンパイプの抵抗が大きく燃圧が下がらない場合は、配管を大口径の物に交換します。

3.エアフロメーターを大口径の物に交換した場合
 エンジンの改造を行わずに、エンジン出力を上げるには、吸気・排気抵抗を少なくすることが簡単なのはご存じと思います。それと同じく、エアフロメーターを大口径にすると、吸気抵抗の軽減により中間域以上の回転数での出力アップが望めます。ノーマル70φを80φ(GTSーT)に変更する程度ですと、極低速域での取り扱いが少しだけ難しくなりますが、おおむねおおむね問題はありません。私も使用していますが、問題と感じたことは有りません。たぶん問題と感じる人は、このような変更を行ってはいけません。

 以上の要因を考えながら、マップデータを決定します。決定するには、いろいろな方法があります。しかし、結果的に誰が見ても変更したことがよくわかる方法が理想的だと思います。他人が変更したデータを見たことがある人は、そう思われると思います。しかし、この方法をさか手にとって、変更した人以外変更しにくくして、一種ののプロテクトをかける人もいます。


K定数の決定方法
@燃料マップを00hに変更しマップ補正を無くします。
AO2センサのコネクタをはずしフィードバックを無くします。
Bエアフロに適切(エアフロにあうもの)なVQマップを入れておきます。
※別の理論ですが、VQマップを変更しなくてもK定数やTP・マップを修正すればセッティングは出すことはできます。そういうROMデータも販売されています。しかし、セッティングの近見としては、エアフロにあっていると思われるVQを使う方が簡単です。
CTP軸は、一般的なものを入れます、INJ変更に伴う変更は比率計算を行い入れます。
※Bと同じく、変更しなくても問題のない場合もあります。私のBNR32はINJ交換をしていますが、高負荷部分しか変更されていません。
DA/F計を装着します、ヒーターのついているもの。
※K定数決定時は排気温度が低いため正確に計測できません。現在販売されているA/F計(10万円程度)はほとんどヒーターがついていると思います。
E計算値のK定数を入れておきます。
Fエンジンの回転数を3000rpm前後で一定の回転数で保ち A/Fを読み、ノーマルカムなら14前後、68度前後のカムなら13前後になるようにK定数を変更します。
最終的には、耳でエンジン音をきき、ミスファイアや不安定な場合は、K定数を変更してゆきます。計算値よりK定数が大きくなる場合がほとんどです。
※理由は、燃料パイプの抵抗や燃料フィルターの抵抗、燃料ポンプの能力、エアフィルターの形状や吸気温、各所での電圧の変化や個体差等が考えられます。
G一応K定数が決定したら、燃料マップにデータをいれ実走行セッティングを行います。
H最終的には、実走行で調子の良いK定数に変更します。 燃料ポンプ、燃料フィルター、バッテリー電圧によって当然同じ仕様の車でもK定数は異なります。

 以上は、一つの方法であり、そのほかにもいろいろ方法はあると思います。
 その一例として、VQマップを変更して全体を変化させて調整する方法があると思います。

続いては、時間がありしい編集し掲載します。お楽しみに。