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2005年02月27日

VCR:Variable Compression Ratio エンジン

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日産自動車はエンジン運転中に圧縮比を8:1から14:1に変えられる可変圧縮比エンジンを開発、報道関係者に公開した。エンジンは、圧縮比を高くしたほうが効率は高まり、燃費が良くなるが、ノッキングが起こりやすくなるため、最近のエンジンでは圧縮比をせいぜい10:1にとどめていた。しかし実際には、ノッキングが起こりやすいのは高負荷・高回転の運転領域で、それほど負荷の高くない常用域では、圧縮比を14:1程度まで上げてもノッキングは起こらない。こうした運転領域で、可能な限り高い圧縮比で運転することでエンジン効率を上げられるのがVCRエンジンの特徴だ。
 特にメリットの大きいのがターボとの組み合わせ。ターボエンジンでは過給を行うため自然吸気エンジンよりもさらにノッキングが起こりやすく、圧縮比を8:1程度まで低くしている場合が多い。VCRエンジンではノッキングが起こりやすい領域だけ圧縮比を8:1に下げて、常用域では圧縮比を上げられるので、自然吸気エンジン以上に燃費・出力の向上効果が大きい。ターボエンジンとの組み合わせでは、燃費・出力ともに10%以上向上できるという。
 VCRエンジンの発想自体は新しいものではない。過去にも圧縮比を可変にするための機構として、クランク軸の位置をずらす、シリンダヘッドとシリンダブロックの距離を変える、ピストンに油圧機構を組み込んで高さを変える——などの方式が提案されてきた。しかしどれも、複雑になる、重くなる、大きくなる、信頼性が確保できないなどの難点があり、実用化された例はない。

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日産は新たに、クランク軸とコンロッドを直接つなぐのではなく、リンクを介してつなぐことで、マルチリンク式のVCRエンジンを考案した。マルチリンク機構によって上死点の位置をずらし、圧縮比を変える。こうした方式も過去に提案されたことはあったが、リンク機構の振動が大きくなってしまう、エンジンサイズが大きくなるなどの理由から、やはり実用化には至っていなかった。
 日産が考案したマルチリンク機構は図のようなもので、三つの回転軸を持つリンクの真ん中の軸にクランク軸を、一端の回転軸にコンロッドを結合する。クランク軸の位置は固定で、残りの一端の回転軸を上下させると、コンロッドを結合した軸が上下するというのが、上死点の位置が変わる原理だ。残りの一端の回転軸は、コントロールシャフトと呼ぶ偏心軸を回転させることにより上下する。数多くのリンクの組み合わせの中から最適のものを選び出し、振動などの問題を抑えたという。
 このマルチリンク機構のメリットは、圧縮比を変えられる点だけではない。一つのメリットは、上死点からピストンが下がるときに、コンロッドがほぼ真下に向いていること。従来エンジンのように、コンロッドが斜め下に向いていないため、ピストンを傾けようとする力が働かず、ピストンスカートのシリンダ内壁との摩擦が小さいため、ピストンの摩擦損失を従来エンジンの半分にできるという。
 もう一つのメリットはエンジンの回転バランスが良くなること。従来のクランク機構では、ピストンの往復運動が、横軸に時間をとった場合にきれいなサインカーブにならず、これがエンジンの振動を生み出していた。これに対しマルチリンク機構ではピストンの動きがほぼ正確なサインカーブを描くため、エンジンの回転バランスが良くなり、2次バランサを不要にできるという。

投稿者 Manmos : 2005年02月27日 13:03

コメント

マツダにも以前、同じようなエンジン制御機構で、ミラーサイクルってあったよね?
月例会で、太古さんのセミナー受けたのを思い出します。

投稿者 admin : 2005年02月28日 20:18

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